概要
ArduPilotは、オープンソースのフライトコントローラー用ファームウェアで、3D RoboticsのChris Andersonが始めたDIYDrones.comから派生したプロジェクトです。名前が示す通り、Arduinoでフライトコントローラーを実装したのをきっかけに始まったオープンソースのフライトコントローラーソフトウェアです。現在では、Arduino系ボードのサポートは終了してますが、名前はArduPilotのままです。
ArduinoMegaに移行したのち、しばらくの間APMにブランドを変更しようとしていた時期もあったので、APMのロゴや表記も未だに使われている場合がありますが同じものです。
現在はLinuxを含む様々なプラットフォームに対応し、マイクロコントローラー系のPixhawkファミリーのフライトコントローラーや、Linuxシングルボードコンピューターベースのユニットで動作します。
もともとはArduinoのスケッチとして、32bitのPixhawk上では、PX4 Native Stack上のアプリケーションとして実装されていました。
Pixhawk上では、NuttXというリアルタイムOSの上で走るPX4 Native Stackのアプリケーションの一つとして動作していましたが、最近ではNuttXやPX4 Native Stackへの依存度を下げる方向で作業が進められています。
PX4 Native Stackとは違い、モノリシックで巨大なアプリケーションで、あまりUNIX的な構成ではありません。シャーシー、フレームの種類ごとに、複数のファームウェアがあり、それぞれがお互いの機能を取り込みながら開発が進んでいます。マルチコプター用のファームウェアも、Quad, Hexa, Octaと全てコンパイル時に指定する必要がありましたが、最新の開発版でようやく統合されました。
ArduPilotはマルチコプターの他にも、固定翼機、ヘリコプター、VTOL、ローバー、ボート、潜水艦(ROV)等、様々なフレームをサポートしていて、それぞれ、ファームウェアが違います。例えば、Copter (ArduCopter)は、マルチローターとヘリコプター、Plane (ArduPlane)は、固定翼やQuadPlane VTOL機に対応しています。
ファームウェアのライセンスはGPLv3です。
ArduPilot系ハードウェア
APM 2.0/2.5/2.6
- APM 2.xはArduino Megaベース
- すでにAPM 2.x系ボードを含め8 bitアーキテクチャー向けの開発は終了(Copter 3.2まで)
PXF (Pixhawk Fire)
- スペインのErle Robotics社が生産、販売する、Linuxシングルボードコンピューター用の拡張ボード
- Pixhawk Fireと名が付いているが、初期段階ではArduPilotのみをサポート。現在はPX4 Native Stackもサポート
- PXFはTexas InstrumentsのBeagleBone Black向けのケープ
- PXFminiは、RaspberryPi向けのハット
Pixhawk
- PixhawkはETH Zurich(チューリッヒ工科大)、3DR、ArduPilotのコラボレーション
Linuxサポート
- 2015年からサポート
- PXF、PXFmini、ErleBrain、ErleBrain2、NAVIO、NAVIO2, BBBMini, SnapDragonFlight
- Parrot Bebop
ArduPilotの歴史
ArduPilot系ソフトウェア
ArduPilotは機体上のオンボードフライトコントローラーで動作するファームウェア部分のみで、インストール、設定、チューニング、オペレーションには、互換性のあるGCS (グランドコントールステーション)ソフトウェアが必要です。
- ArduPilot
- MissionPlanner (GCS. Windowsのみ)
- APM Planner 2 (GCS. Windows, Mac, Linux)
- MAVProxy (コマンドラインGCS. Windows, Mac, Linux)
- Tower/DroidPlanner 3 (Android)
コアメンバー
Andrew Tridgell (Tridge)
- Linux開発者
- rsync、samba等、誰もがお世話になっている有名ソフトの開発者
- Plane、Antenna Trackerのリード
- オーストラリア人
Randy Mckay
- コプターのリード
- カナダ人(軽井沢在住)
Paul Riseborough
- EKF、Waypoint系、Optical Flow等担当
- PX4 Native StackのEKFも担当
Rob Lefebvre
- Traditional Heliのリーダー
- カナダ人
Víctor Mayoral Vilches
- Linuxのリード
- Erle RoboticsのCTO
- スペイン人
Marco Robustini
- テスター
- イタリア人
- PX4 Native Stackのテストも担当
Michael Oborne
- Mission Plannerの開発者
設定ガイド
フライトモード
マニュアルモード
- Acro
- Sport
- Drift
- Stabilize(スレッショルド以上のRoll/Pitch入力は、アングルではなくレートコントロールになる)
- Angle(RollとPitch入力は傾斜角として処理される。YAWはレート)
アシステッドモード
- AltHold(スロットルが上昇・下降レートになり、センター付近のデッドゾーンが広がる)
- PosHold(RollとPitchは対地速度。センターで現在位置を保持)
- Land
- Break
- Simple/Super Simple
オートモード
- LOITER(現在位置でホバリング)
- Guided
- Circle
- Follow Me
- AUTO(Waypointミッション)
- RTL(指定高度まで上昇後、離陸地点・ホーム地点に戻り、着陸)